【第9回】巡回指導の時間を短縮するためにはどうしたらいいの?

一般貨物自動車運送事業を取得した運送会社は、2年に1回、定期的に実施される巡回指導を受けなければいけません。

通知文書を見ると、① 10:00~12:00、②13:00~15:00の2パターン(交通事情、指導員数等の影響で地域差があり)あり、約2時間実施されます。

少しでも嫌な(?)巡回指導を短縮するためには、どのような協力体制を事前にしておけばいいのでしょうか?

1)法令遵守の有無で大きく変わる

カトウさんを目の前に言うのもなんですが、運送会社の担当者からしてみれば、巡回指導に時間を費やすのは嫌だと思います(笑)

少しでも時間を短縮してもらい、終了したい場合、どのような対応をすればいいのでしょうか?

カトウさん
カトウさん

総合評価が良い(A・B)を取得している運送会社は、法令遵守をしっかりしているので、その分、指摘・アドバイス等をする内容が減ります。

私の場合、法令遵守の意識が高い運送会社は、通知に記載された予定時刻よりもかなり早く終わることが多かったですね。

説明する内容が少なくなると、早く終了しやすいですよね。

では、逆に総合評価が悪い(D・E)の運送会社は、予定時刻まで実施しているのでしょうか?

カトウさん
カトウさん

総合評価の悪い運送会社の場合、説明時間が長くなるだけでなく、帳票類をしっかり見なければいけないので、巡回指導の予定時間である2時間を超えることもあります。

そのうえ、半年に1度の巡回指導や行政監査のリスクを負わなければいけないことを考えると、法令違反をしても何一つイイことはないですね。

巡回指導に立ち会っていると、予定よりもかなり早く終わっていると感じていたのですが、裏では、かなり苦労されているのですね。

2)書類を事前に準備しておく

法令遵守の有無で巡回指導の時間が大きく影響するのはわかりました。その他、巡回指導の時間に大きく影響を与えるのはどのようなことなのでしょうか?

カトウさん
カトウさん

そうですね。

事前準備が大きな差になっていると思います。

事前準備?

たとえば、どのようなことでしょうか?

カトウさん
カトウさん

巡回指導に伺うとですね、通知文書に記載した帳票類を机の上に並べたり、段ボールなどにまとめた運送会社は、すぐに提示できるため、大きな時間短縮になります。

ですが、なかには、提示を求めた際に書類を探しに行く運送会社は、かなり時間がかかることがあります。

あ、それありますよね

本人はわかっているつもりでも、いざ求められたら、どこにあるかわからないケースが(笑)

カトウさん
カトウさん

そのときは、臨機応変に提示できる書類から閲覧するのですが、巡回指導の時間帯でも見つからないことがよくあるんです。

けれど「昨日はあったのに、なぜないんだ。」と必死に探し始めると、ちょっと困ってしまいます。

適正化指導員もどうしたらいいのかわかりませんよね(笑)

ですが、本人は「ある」と主張しているにもかかわらず、見つからない場合はどのようにしているのですか?

カトウさん
カトウさん

「管理」というのは、すぐに提示できてこそ「管理」だと思うんです。だから、見つけられなければ「管理」できていないとして「否」の判定をします。

(運送会社の担当者さんの)悔しい気持ちはわかりますが仕方ないですね。

カトウさん
カトウさん

ご家族で経営をされている場合、書類が見つからないことに対して、奥様から怒られる社長を見たときは「申し訳ありません」と心の中でいつも思っています(笑)

女性は強いなぁ…と思っちゃう場面ですね。

3)雑談はほどほどにしておく

ここまで来るとすべて出尽くした感がありますが、まだ、その他にもあるのでしょうか?

カトウさん
カトウさん

そうですね。

あとは話好きの担当者様、相手だとかなり時間がかかることがあります。

適正化指導員に対しても好意的に接してくれるので話してくれるのは嬉しかったのですが、予定時間を超えることもたびたびありました。

話好きな人の話を切るのは本当に難しいですよね(笑)

ですが、巡回指導もすべての項目を見なければいけませんよね?そのようなときはどのように対応しているのですか?

カトウさん
カトウさん

適正化指導員は2人1組で行動しています。

今回の例のように、話好きや怒鳴ってきて帳票類の調査が困難と判断した場合は、1名が聞き役、1名が調査を行い、役割分担を行っています。

社長の奥様も心配されて、協力的になってくれたこともよくありました(笑)

当の本人は夢中で時間を忘れてしまうことってよくありますよね。

適正化指導員も対策を取っているわけなんですね。

カトウさん
カトウさん

その場では、社長の話が面白くて聞いていても、時間内に終わらなければ業務に支障が出てご迷惑をおかけしますから。

失礼だとは思いながらも、役割分担の方法を取っていました。

まとめ

巡回指導の通知文書に記載された帳票類をひとつの場所にまとめて、すぐに提示できる状況を整えておくと、予定よりもかなり早く巡回指導が終わるケースが多いようです。

適正化指導員も「巡回指導で業務の支障をきたさないように…。」と心がけているそうで、準備してくれていると本当にうれしいようです。