過去のインタビューで、一般貨物自動車運送事業の適正化事業実施機関の指導員は、トラック協会所属の職員であることを伺いました。
トラック協会は、運送会社の会費や軽油引取税等からの還元としての交付金で成り立っているので、会員は「トラック協会の職員は、運送会社のお金で食べている」という意識が強い人がたくさんいます。
そのため、巡回指導の結果に不服を持ち、指導員に不服を申し立てるケースがあると耳にしました。
今回は、運送会社の巡回指導結果に対する圧力について紹介していきます。
1)巡回指導結果を変更するよう促す運送会社は多い?少ない?
冒頭の説明でも紹介しましたが、トラック協会の職員は会員のお金から給料が出ています。そのため、巡回指導の結果に不服を持ち、「否」を「適」にするよう圧力をかけてくる会社もあるのではないでしょうか?
個人的な感想ですが、「否」を「適」にするよう圧力をかけてくる会社はほとんどいません。
結果を素直に受け入れる会社がほとんどです。
運送会社もそこは理解して対応してくれているのですね。
はい。
「否」に不満を持つ運送会社もいますが、それはトラック協会職員だから…ではありません。
経営困難な中、荷主側からの無理難題に対応しながら、法令遵守しようと努力しているにもかかわらず、指摘されることへの不満…が多いと思います。
なるほど。
運送会社も荷主から理不尽な要求をされることが多いので、自助努力では解決できないことが多いから、不満として言葉にすることがあるというわけなんですね。
2)圧力をかけてくるパターンとは?
少数派だと思いますが、一部、トラック協会の会員であることを傘にして、巡回指導の結果を変更するよう圧力をかけてくる運送会社もあるのでしょうか?
います。
- 総合評価がD・Eだった
- Gマーク申請に係る巡回指導
- 本社に結果を提出しなければいけない
このような場合、担当者が必死になって結果を変えるよう訴えてくることがありました。
結果が会社や本人の評価に影響する場合、必死の抵抗に合うというわけなんですね。
そうです。
必死だからこそ、圧力をかけてくるのでしょう。圧力の掛け方はピンからキリまであります。
中には、巡回指導が終えた後も電話で「巡回指導の態度が悪かった」「高圧的な態度を取られた」などのクレームがかかってくることもありますね。
それは酷いですね。
違反を立場を利用して誹謗中傷してくるのは残念としか言えません。
3)悪質な対応をした運送会社は支局に報告されている⇒監査対象リストへ
なかには酷いクレームや圧力をかけてくると思いますが、対応はどのようにされているのでしょうか?
理解していただくよう、何度も頭を下げることがほとんどです。
適正化指導員である一方、トラック協会の職員であることには間違いありませんから。
たとえ、理不尽でも会員からの意見としてお話を聞いていました。
感情的になっていたり、誤解しているだけのケースもあるから、話を聞くことは重要ですよね。
ただ、クレームの中には悪質なモノもあると思います。そのような場合はどうするのでしょうか?
適正化事業実施機関と運輸支局は、定例会議を開催しています。
その中で悪質な”運送会社として報告”する場合もあります。非協力的な運送会社として判断されれば、運輸支局の監査が行われる場合もあるので、原則、適正化指導員に悪態をつかないほうが無難だと思います。
非協力的なら仕方ないですよね。
たいていの指導員は我慢していると思いますが、やはり相手は人間。何度も悪態をついていると、運輸支局へ報告もありうるというわけですね。
勘違いしていただきたくないのは、あくまで理不尽な場合のみです。
協会・適正化事業実施機関に対する不満を言ったから、すぐに定例会議に報告というわけではありません。多くの指導員は、会員からのアドバイスとして受け止めているはずです。
ですが、何事にも限度があるということだけはお伝えしたいです。
4)身の危険を感じたこともあり
度を超えた恫喝はどのようなものがあったか教えていただけますか?
灰皿を壁にぶつけたり…。骨董品も扱う店も兼業していた運送会社では、急に刀の手入れし始めたり…。(私たちが座っているソファに)怖いお兄さんたちが取り囲んだり…。
そのほか、特定されるので書けない内容もあります(笑)
刑事事件になりそうなものまでありますね汗
そうですね。
ビビったら負けなので、そのときは堂々と接していたのですが、巡回指導が終わった後、足が震えていたこともありました(笑)
巡回指導では、いつもニコニコ接してくれたので気が付きませんでしたが、裏では、大変な経験もされていたのですね。
まとめ
経営が苦しいと「協会は何もしてくれない」と不満をぶつけたくなる気持ちはわかります。経営者なら”不安”からつい訴えることもあるでしょう。
ですが、度を越えた恫喝は、犯罪にもなりかねません。
感情的になって迂闊な言動を「つい」行ってしまうのは差し控えましょう。
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