【第1回】巡回指導の安易なキャンセルは避けるべき理由

巡回指導の通知文書が届いても、業務の都合上、キャンセルせざるを得ないことがあるかと思います。

本当に業務の都合であったり、担当者不在ならいいのですが、中には、安易に「キャンセルすれば、巡回指導を先延ばしにできる」と考えている事業所もあります。

真面目に対応している運送会社からしてみれば、腹立たしい話ではありますが、このように巡回指導を安易にキャンセルしても問題ないのでしょうか?

適正化事業実施機関の元指導員にお話しを聞いてみました。

1)巡回指導のキャンセルは行政監査の対象になる

巡回指導の通知文書は約2週間前に届きますよね?

ギリギリの人員で運営している運送会社は、すでに業務が立て込んでいて対応できない場合もあります。その場合、巡回指導をキャンセルせざるを得ないこともあると思いますが、問題ないのでしょうか?

カトウさん
カトウさん

荷主の要望等により、自社の努力では指定された日が対応できない場合が当然あると思います。

そのような仕方のない場合は、巡回指導のキャンセルをせざるを得ないでしょう。

ですが、運輸支局から”悪質”・”非協力的”と判断された場合は厄介です。

元指導員の経験からお話すると巡回指導の対応ができるのであれば受けておいた方が無難です。

私の知り合いの運送会社も巡回指導をキャンセルしていたのですが、特に影響がなかった記憶があります。

仮にキャンセルした場合、どのようなデメリットがあるのでしょうか?

カトウさん
カトウさん

運輸支局や適正化事業実施機関も、トラック運送業界が限られた人員でギリギリの運営をしているのは把握しています。

ですが、法律で巡回指導に対応うえでの運営をすることが決まっている以上、行政側としては、キャンセルすることを好ましく思っていません。

実際に、悪質なキャンセルと判断された場合は、”行政監査”の対象になってしまいます。

え…?

巡回指導のキャンセルも”行政監査”の対象になっていたんですね。それは知りませんでした。

2)悪質と判断されるキャンセルルールは都道府県によって異なる

巡回指導のキャンセルは、リスクのある行動だったのですね。

どのようなルールのもと、巡回指導のキャンセルが”行政監査の対象”となってしまうのでしょうか?

カトウさん
カトウさん

各都道府県、支局との話し合いで決めているので、ルールはバラバラです。地域によっては、厳しい対応をしているトコロもあります。

特にキャンセルした後にまたキャンセル…と繰り返す行為は危険ですね。

確かに、キャンセルを繰り返すことを許していては、真面目に対応している運送会社が馬鹿を見ますよね。

不真面目な運送会社が徳になる…というのはあってはいけないと思います。

カトウさん
カトウさん

巡回指導をキャンセルした運送会社の情報は、支局との定例会議(月1回)で情報交換されています。

キャンセルが原因で行政監査が行われたケースは何度もありますので、「巡回指導のキャンセルで行政監査が行われるハズがない」など高を括っていると痛い目に合うのは間違いないです。

キャンセルを悪用することは厳禁というわけなんですね。

3)キャンセルは本当に困ったときの奥の手

真面目な運送会社が馬鹿を見ないように対応しているのはわかりました。

ただ、本当に大変な状況のときはどうしたらいいのでしょうか?

カトウさん
カトウさん

1回のキャンセルくらいで行政監査が行われることはないです。

  • キャンセルを何度も繰り返す。
  • 巡回指導が計画されるたびにお約束のようにキャンセルする。
  • 総合評価が悪いところは特に注意

…といったところでしょうか。

巡回指導の通知文書がきたとき、インフルエンザやコロナウィルス感染症などで、体調を崩していたらどうしようかと思っていました汗

カトウさん
カトウさん

不測の事態はどの運送会社にもあるものです。

それを無理矢理、対応して下さい…といった非人道的なことはありえないので、そこは安心して下さい。

それを聞いて安心しました(笑)

本当に困ったときにキャンセルを使用しないと”悪質な事業者”と判断されてしまうので、奥の手くらいに考えた方が良さそうですね。

カトウさん
カトウさん

ええ。

以前、キャンセルしても問題なかったから、いまも大丈夫だろう…は通用しない時代になってきたことは確かです。

経営者も時代の流れに合わせて意識を変えていかなければ、痛い目に合うというわけなんですね。

まとめ!

以前は、巡回指導のキャンセルも安易にできたかもしれません。

ですが、運輸支局と適正化事業実施機関で情報が共有され、かつシステム等が発展してきた現在、キャンセル回数等も管理されています。

キャンセルはあくまでも困ったときの”奥の手”と考えておきましょう。